Searchina

メニュー

ビジネス

「ドル安円高基調」は続くのか? 外為オンライン佐藤正和氏

2018-02-01 10:24

 先月は、一時的に1ドル=108円40銭台にまで円高ドル安が進み、久しぶりに円高が急速に動く、変動幅の大きな為替相場になった。トランプ米大統領が、年1回開催される「世界経済フォーラム」の年次総会、通称「ダボス会議」に出席。そこで何が語られるかが注目され、ダボス会議に向けて、ドル円は一時的に大きく円高に振れて1ドル=108円台をつけた。円高の背景には、何があるのか。また、円高トレンドは続くのか・・・。外為オンライン・アナリストの佐藤正和さん(写真)に2018年2月の相場動向をうかがった。

 ――1月は大きく円高に振れましたが、その原因と背景を教えてください。

 1月中旬にかけて大きく円高ドル安が進みましたが、その背景には3つの要因があったと思います。ひとつには、黒田日銀総裁が言及した「リバーサル・レート」の問題。マイナス金利など金利が下がりすぎると金融政策の効果が薄れてしまい、デフレ脱却に繋がらないという意味ですが、為替市場は敏感に反応しました。

 第2には、日銀の「買いオペの減額」です。現在、日銀は年間80兆円の国債を買い入れており、そのペースで「買いオペ」をしてきたわけですが、年が明けてすぐの1月9日、長期国債の買い入れ額を減らしてきました。特に、なにか発表があったわけではありませんが、テーパリング(国債買い入れの減少)の開始ではないのかという観測が市場に出ました。

 そして、第3の要因は黒田日銀総裁の1月の金融政策決定会合の後の記者会見での発言でした。「出口戦略はまったく考えていない」「粛々とインフレ目標2%を目指す」ことを意思表明しました。

 これらの要因が重なって円が買われて、ドルが売られたというわけですが、全体のトレンドとしては何かがあれば、ドル売りに振れるという市場のコンセンサスができつつあります。問題はこのトレンドがいつまで続くのか、ということです。

 ――スイスで開催された「ダボス会議」を挟んで、相場は大きく揺れ動きましたが・・・?

 最初に動いたのは、ムニューシン米財務長官の「ドル安容認発言」ですが、その後トランプ大統領が「長期的にはドル高が望ましい」趣旨の発言があり、1ドル=109円70銭までドルが買い戻される場面がありました。ところが、その後の黒田日銀総裁のダボス会議での記者会見の発言がきっかけとなって、再び大きくドル安円高に振れることになりました。

 黒田総裁の「インフレ率は目標に近い」といった趣旨の発言に海外の金融マーケットが反応。金融緩和政策の終了が意識されたために、急激な円買いドル売りが進みました。ドル円は一時、1ドル=108円台前半まで円高が進みました。

 黒田総裁の発言内容は「賃金が上昇している兆候がいくつか見られ、物価も一部ですでに上昇」「中長期のインフレ期待は若干上向きつつある」といった内容でした。発言直後から日銀のスポークスマンが「従来の発言内容と変化はない」と、火消しに躍起になったとも報道されていますが、少なくともドル円相場では、ドル売り円買いが大きく意識される相場になっているようです。

 ――1月30日に行われた米大統領の一般教書演説の影響は?

トランプ大統領にとっては、最初の一般教書演説となりますが、今年の11月には中間選挙も控えているため、全体的に過激な発言は抑えられ、この1年の成果をアピールする話題が多い印象でした。

 これまでにも報道されてきた内容ですが、インフラ整備の規模を10年で1兆ドルから1.5兆ドル(約160兆円)に拡大すること、通商政策では貿易不均衡の是正に取り組み、米国にとって有利な貿易交渉を行っていくこと、そして大型減税法案の成立などなど、この1年で米国経済が好転し、失業率は幅広く下がり、株式市場も好調であることなどを訴えました。

 予想通りの展開で、市場には大きなサプライズはありませんでしたが、周知のようにツイッターでサプライズがある可能性もあり、油断は禁物です。

 ――2月もドル安円高トレンドは維持されるのでしょうか。ドル円の予想レンジは?

 1ドル108円台の前半まで行ったことで、市場では昨年つけたドルの最安値である1ドル=107円32銭というレベルが意識されることになると思います。この水準を、抜いてくるようだとドル円相場では、さらなる円高が進む可能性が高まります。そうしたドル安円高の要因には、やはり日銀の金融政策への疑念や不透明感があるのではないでしょうか。

 一方の米国では、2月4日にイエレンFRB議長が退任し、新たにパウエル氏が新議長に就任します。大きな政策変更はなく、当面は現在の政策が維持されると見られています。

 2月相場で注目したいのは、やはり米国の長期金利です。10年物長期国債の利回りが、1月30日時点で2.72%を超えてきました。2014年以降初めて2.7%を超えており、その影響で1ドル=109円20銭までドル高が進みました。トランプ政権が誕生して1年ぶりの金利上昇でしたが、合わせてユーロドルも売られ、市場全体が「ドル高」となり、米国にややインフレ懸念が出て来たと言って良いのかもしれません。

 ニューヨークダウも、2日間で540ドルも下落するなど、昨年5月以来の大幅安を記録しました。WTI原油価格も1ドルを超す下げを見せており、一般教書演説に向けて全体的に「リスクオフ」の印象でした。

 とはいえ、2月の為替市場ではドルの「ロング」が積み上がっており、今後は「ドル買い」のマグマをどうやって市場が処理していくのかがテーマになると思います。2月のドル円の予想レンジとしては、1ドル=107円-111円と見ています。

 ――1月はユーロ高が目立ちました。ドル円以外の通貨はどんな動きになるのでしょうか?

 1月25日に開催されたECB理事会では、予想通り主要政策金利を0.00%、中銀預金金利をマイナス0.40%にそれぞれ据え置き、ドラギECB総裁は記者会見で「我々は為替相場を目標としていない」と改めて、通貨の上下には一喜一憂しない姿勢を見せました。

 ECBの金融政策については、年内の利上げの可能性は「ほとんどない」と発言し、さらに資産買い入れ策終了後も、長期に渡り金利を維持する方針を確認しています。とは言え、昨年12月からユーロは対ドルで最大7%も上昇しており、米国経済や米国の金利情勢次第では、今後もユーロ高が続く可能性もあります。

 欧州通貨及びオーストラリアドルの2月の予想レンジとしては次のように考えています。
●ユーロ円・・1ユーロ=132円-137円
●ユーロドル・・1ユーロ=1.20ドル-1.25ドル
●ポンド円・・1ポンド=150円-157円
●豪ドル円・・86円-89円

 ――2月はどんなトレードを心掛ければいいでしょうか?

 円高トレンドがしばらくは続くとみていいかもしれません。全体的には「リスクオン相場」であり、ボラティリティが大きくなるのはやむを得ないと思います。世間を騒がせているコインチェックによる仮想通貨「ネム」の流出事件なども、その経緯によっては株価や為替市場に影響が出てくる場合があります。

 具体的には、1ドル=107円割れ、あるいは105円割れしたら「仕込み時」と考えて良いのではないでしょうか。相場の推移を予想するのは難しいものですが、現在のFX市場は何かネガティブ材料があればドルが売られる相場。とは言え、107円台に長期間留まったり、107円台割れといった事態はそうそう起こらないと思います。

 いずれにしても、2月は市場をじっくりウォッチして、エントリーできるタイミングを計るチャンスと言えます。(文責:モーニングスター)。 /*snsボタン*/

今日のアナリストレポート
主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧
 

【本日注目の通貨ペア】トルコリラ/円:前倒し総選挙によるリラ高は続かない公算

【本日注目の通貨ペア】トルコリラ/円:前倒し...

【今夜の注目材料】米新規失業保険申請件数

【今夜の注目材料】米新規失業保険申請件数

WTI先物は続伸

WTI先物は続伸

【為替本日の注目点】日米首脳会談無事通過?

【為替本日の注目点】日米首脳会談無事通過?

【今日のドル円】日米首脳会談を無難に通過

【今日のドル円】日米首脳会談を無難に通過


Copyrightc Morningstar Japan K.K. All Rights Reserved. トップ