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米中協議の山場を迎えドル/円は狭いレンジを抜け出すか? =外為どっとコム総研

2019-01-29 14:06

 1ドル=109円~110円という狭いレンジの取引になっていたドル/円が大きく動き出すイベントが迫っている。外為どっとコム総合研究所の取締役調査部長兼上席研究員の神田卓也氏(写真)は、「米中協議と米FOMCが並行して開催される1月末は、それぞれの会議の結果次第で、大きな流れにつながる重要な転換点になる」と注目を呼びかける。また、ドル/円に比べて、クロス円は大きな値動きが出やすくなっているので注意が必要だと語った。神田氏の当面の見通しは、以下の通り。

 ――年初の1月3日には、米アップルの予想業績の引き下げなどをきっかけに、ドル/円やクロス円が大幅に下落(円の急騰)する場面があった。このように大きな価格変動が起こった理由は?

 価格の急激な変動が起こったのは、日本時間で3日の7:30のことだった。日本は正月休みの最終日で、世界的に参加者が一番少ない時間帯に起こった。当日の価格変動率を調べると、ドル/円は4%程度の変動下落だったが、豪ドル/円は8%、トルコリラ/円は11%も値下がりした。クロス円の値動きの大きさが際立っている。

 急落のきっかけが、アップル社の中国での業績不振だったこともあり、中国経済との結びつきが強い豪ドルや、新興国通貨としてのトルコリラに大きな反応が出たと考えられる。豪ドル/円などのクロス円が売られる中、豪ドル/米ドル、ドル/円などにも売りが波及したものと考えられる。

 今後も、このような急激な価格変動はないとは言い切れない。特に、週明け(月曜日)の朝一番で日本の投資家が出動する前の時間帯、かつ、日本で円売りのポジションが強い時に、週末にNY市場で何かの出来事が起こった時などに、ショックが起きやすい。これまでも、南アランドが急落するようなショックが、月曜日には何度か起きた。

 今回のトルコリラ/円は11%も価格が動いているので、レバレッジ10倍でポジションを作っていると強制ロスカットになっている。ドル/円でもレバレッジ25倍で持っていたら、ロスカットに引っかかるほどの動きだった。週を跨ぐポジションを維持する場合には、レバレッジを極力落とすように心掛けたい。特に、新興国・資源国通貨のクロス円の値動きが大きくなっているので気をつけたい。

 ――当面のドル/円の注目ポイントは?

 米中の貿易協議の行方次第だ。協議が不調で決裂してしまえば、中国のバブル崩壊懸念や米国の景気減速懸念などが一気に噴出して、株安・円高の方向に進むだろう。1月30日から始まる閣僚級会議の結果を待ちたい。

 このところ、トランプ大統領の態度に、株価を下げたくない、経済を混乱させたくないという強い意向が感じられるようになっていることは、米中協議にも影響を与えるだろう。1カ月以上に及んだ政府機関の一時閉鎖は、トランプ大統領の方が珍しく折れて、国境の壁の建設費用を予算計上しないまま、閉鎖解除に至った。これ以上、政府機関を閉鎖しておくと、株価の下落につながりかねないということを意識したのだろう。中国との関係も、これまでの全面対決から、一致点を見出して落としどころを探るような協議になるのではないかと見通せる。

 一方、米国の有力経済紙が、「FRBがバランスシートの縮小について見直す議論を始めている」と報じている。つい1カ月前に利上げをしたばかりで、金融正常化に向けた動きを見直そうとしているとは、にわかには信じがたい。30-31日でFOMCが開催されるので、そこでの決定、また、議長の会見の内容が注目される。「金融正常化をめざす利上げやバランスシートのスリム化を見直す」ということになれば、ドルが売られ、株高によって円も売られることになるだろう。豪ドルやユーロ、ポンドなどが買われる動きにつながりそうだ。

 米中協議にしろ、米国のバランスシートの問題にしろ、事前にどうなるとは予測しにくい。それだけに、ドル/円はここのところ、1ドル=109円~110円という非常に狭いレンジでもみ合っている。月末の重大イベントの結果次第では、レンジを抜けるような動きに発展することが考えられる。109円を超えて円高が進む場合は、107円くらいの水準まで動くだろう。反対に110円を超えて円安になると、111.30円くらいまで円安が進みそうだ。したがって、当面は1ドル=107円~111.30円程度のレンジを予想する。

 ――英国のブレグジットは、3月末の離脱予定日がいよいよ迫ってきているのに、依然として英国国内すら意見がまとまらない。合意なき離脱に突き進んでいるようにみえるが?

 英国側も、EUも「合意なき離脱は回避したい」という目標では一致しているため、落としどころを探ることは可能だと思うが、いかんせん、離脱予定日まで2カ月しかない。英国は、29日にも協定案の修正について採決する予定だが、北アイルランドがメイ首相の離脱案に賛成するという報道もあり、メイ首相の案で可決する可能性もある。

 ただ、英国領の北アイルランドが賛成する案は、EU側のアイルランドにとっては都合の悪い内容であり、英国とEUとの交渉が紛糾する可能性が高い。そうなると、3月末までに合意にたどり着くことは難しく、「離脱の延期」が当面の現実的な一致点になるのではないかと思う。問題の先送りに過ぎないが、合意なき離脱によって経済が混乱するよりもマシということで、双方の意見がまとまりやすい。

 ただ、市場は、「合意ある離脱」への期待感が高まって、1ポンド=136円から144円後半までポンドが買われた。これが、離脱時期の延期という結果になってしまうと、失望感から半値押しの水準まで、ポンドが売られるだろう。1ポンド=140円前後への下押しはあり得る。

 3月末の期日までに英国とEUが合意にこぎつけて、秩序ある離脱が実現した場合は、1ポンド=1.35ドル前後へのポンド高が期待され、ポンド/円では148.50円程度まであるだろう。もっとも、この可能性はあまり高くないと感じる。

 ――その他、注目する通貨ペアは?

 米中協議の結果に、もっとも敏感に反応しそうな豪ドル/円に注目している。米中合意が発表されれば、これまでくすぶり続けてきた中国経済の失墜への懸念が和らぎ、豪ドルに買いが入るだろう。もっとも、米中交渉の決裂ということになれば、一番大きく売られる通貨ペアにもなり得ると思う。

 交渉の結果は、ふたを開けてみなければ分からないが、今回の中国側の代表者は劉鶴副首相になっている。昨春に協議にワシントンを訪問し、何の成果も持ち帰ることができなかった。2度目の交渉でも何の成果も得られないとメンツが丸つぶれになってしまう。トランプ大統領としても2020年の大統領選挙を意識し、米国の景気減速の懸念を打ち消したいところだろう。何らかの合意が得られる可能性が高いと思っている。中国からの輸入品にかけられる関税率が10%から、25%に引き上げられるリスクは、以前と比べて低下していると考えられる。豪ドルには明るい兆しだ。

 米中が貿易協議で合意に達して、互いの効率関税を元に戻すバラ色のシナリオになれば、豪ドルは1豪ドル=80円~82円に達するだろう。決裂すれば、75円台に沈む。米中協議の行方を見守りたい。

 現在の市場は、ドルと円が同じ方向に動く傾向が強まっている。リスクオフになると、円が買われる流れに加え、新興国通貨等の下落によって米ドルが上昇するようになってきた。このため、ドル/円の動きは狭いレンジで推移する一方で、クロス円が大きく動くようになってきた。リスクオンでは、豪ドルやポンドなどが買われやすい。市場の潮目の変化を狙った売買に活路が見いだせそうだ。
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